「やっぱり!スーツがとてもお似合いですね。拝見した画像がスーツだったから」
破顔する彼もまた如何にも仕事帰りであるというきちんと感を纏ったまま、私を中へと招き入れる。
柄に柄を合わせた奇天烈な部屋にきちんとした2人はきちんと座り18禁用語をいたく真面目に口にした。
カウンセリングもあと2,3の質問を残すのみ。
「とにかく乳首が感じる..と。それで?社内恋愛にご興味が?」
私がストレートに訊ねると
「ええ、まあ..そうですねえ..」
しどろもどろになりながらも否とは言わない彼の頬は桜色に染まりゆく。
刹那
「脱がせてもらってもいいですか」
「なあに。別にいいけれど」
飛び出した甘えの塊のような言葉に無意識下で口端が上がるのと手が伸びたのは同時だったか。
社会的な首輪と理性が一瞬にして解かれ、身体を這い、うねると足元でとぐろを巻いた。
一つ、二つ、小さなボタンと共に開かれていくのはお前の心。
「職場での役職は?」
「一応なんですけど、皆普通にTさんって..」
「Tさん」
ベッドの縁に座らせた彼は既に"彼"を演じ始めているようだ。
「Tさん、あの噂って本当ですか?」
「う、うわさ?」
「実はTさんがMなんだって、皆そう陰で..フフ、知りませんでした?」
「えっ!そ、そんなわけないじゃないか!」
「..本当に?じゃあここを触られても大丈夫ですね」
控え目なヌーディーピンクを纏う指先が弱点である乳首を掠める。
「アッ」
「え?Tさん、今声が」
「いけないよむらさきさんこんなこと!」
「..何故?私、皆から慕われているTさんのことを入社当初から..TさんがMかもしれないと耳にした時、とても嬉しかったのに」
「えっ!?」
「私、普段は目立ちませんが実は変態でSだという自覚もあって。
噂が本当だったらと独りTさんのデスクで自慰をしたこともありました」
そこからの盛り上がりときたらもう凄かった。
興奮が頂点に達したのか触れようとしてくる彼の腕を掴み
「人事に言いますよ。明日出社したらTさんの席、無くなっているかもしれませんねえ」
「次は会社でいたしません?でもこんなに声が出てしまったら..想像しただけで面白い」
等々。言葉では虐め抜き身体はいやらしく責め立てると彼は呆気なく吐精し、妄想と現実の狭間で深く深く微睡んだのだった。
「あーあ。濃いの出ちゃったね、Tさん」